皆さん、こんにちは。公認会計士・税理士の大木です。
今回は、消費税のインボイス制度にも関連する簡易課税制度について書きたいと思います。
簡易課税制度は従前からある制度ですが、インボイス制度の開始に伴い、消費税の課税事業者となる方が多いと思いますので、簡易課税については是非その内容を知っておいた方が良いです。
簡易課税制度は、中小事業者の消費税の納税事務負担に配慮する観点から設けられた制度で、売上げに係る消費税額に一定の率を掛けることにより、控除できる仕入税額を算出することができる制度です。簡易課税制度は、消費税簡易課税制度選択届出書を税務署へ提出することにより、利用可能です。
簡易課税制度では、売上に係る消費税額さえ集計してしまえば、それに一定の率を掛けるだけで仕入控除税額が計算出来ますので、消費税の納税額が簡単に計算出来ます。
仕入に係る消費税額を算出するための率である「みなし仕入率」は業種によって異なりますが、40%~90%となっています。
簡易課税は納税する消費税額の計算が簡単に出来るという点もメリットですが、場合によっては節税出来るということもメリットです。
例えば、みなし仕入率が50%の業種の会社で、課税される実際の仕入や経費の合計額が、課税される売上高合計に対して、その割合が50%未満だった場合は、通常の消費税の計算方法である原則課税によって計算した納税額よりも簡易課税で計算した納税額の方が少なくなります。
具体的には、みなし仕入れ率50%の業種で、売上に掛かる消費税額が100あり、通常の方法で計算した場合の仕入に掛かる消費税額が40であった場合、実際に納税する金額は「100-40=60」となり、60納税する必要があります。
一方、簡易課税の場合、控除できる仕入税額は売上に掛かる消費税の50%、つまり「100×50%=50」となります。実際に納税する金額は「100-50=50」となり、50納税する必要があります。
通常の計算方法では、60であるため、10だけ節税することが出来ます。
みなし仕入れ率は事業業種によって6つに分けられています。
第1種事業は卸売業でみなし仕入れ率は90%です。第2種事業は小売業等で80%です。第3種事業は建設業や製造業等で70%です。
ひとつ飛ばして第5種事業は金融業やサービス業で50%です。第6種事業は不動産業で40%となっています。
飛ばした第4種事業は、第1、第2、第3、第5、第6種事業以外の事業で、みなし仕入れ率は60%となっています。
簡易課税制度やインボイス制度についての疑問点や対応方法等についてお悩みがありましたら、是非一度、当事務所にご相談くださいませ。
【国税庁・簡易課税制度】
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