今年買ったパソコン・スマホ・備品は経費にできる?個人事業主が知っておきたい税務上のルール
こんにちは。

練馬区で税務や会計のサポートを行っている会計事務所、「大木会計事務所」です。
本日は、「パソコン・スマホ・備品を購入した場合の経費の取扱い」について解説いたします。
年末が近づくと、「今年購入したパソコンは全額経費にできる?」「仕事でも使っているスマホは経費になる?」といった疑問を持つ個人事業主の方も多いのではないでしょうか。
事業で使用するパソコンやスマートフォン、事務用品などは、原則として経費にできます。ただし、購入金額や使用状況によって、税務上の取扱いが異なります。
特に令和8年度の税制改正では、一定の青色申告者が利用できる少額減価償却資産の特例が拡充されました。
今回は、購入金額による違いや注意点について、具体例を交えながらわかりやすく解説します。
目次
1.パソコンやスマホは経費にできる?
1-1 事業に必要なものは経費になる
個人事業主が仕事で使用するパソコンやスマートフォン、プリンター、事務机などは、事業に必要なものであれば経費にできます。
例えば、次のようなものが考えられます。
・仕事用のノートパソコン
・顧客との連絡に使用するスマートフォン
・書類を印刷するためのプリンター
・事務所で使用する机や椅子
・業務用のモニターや周辺機器
ただし、事業に必要なものだからといって、購入した年に必ず全額を経費にできるわけではありません。
購入金額によっては、数年間に分けて経費にする「減価償却」という処理が必要になります。
1-2 プライベートでも使う場合はどうなる?
個人事業主の場合、パソコンやスマートフォンを仕事とプライベートの両方で使用することもあるでしょう。
このような場合には、事業で使用している部分だけを経費にする必要があります。
例えば、15万円で購入したスマートフォンを、仕事で70%、プライベートで30%使用している場合、
事業に対応する金額は10万5,000円となります。
ただし、これは購入金額のうち事業に対応する部分を計算したものであり、その全額を購入年に経費にできるかどうかは、別途判断が必要です。
使用時間や利用状況など、合理的な基準に基づいて事業割合を計算しましょう。
2.購入金額によって経費の処理が変わる
2-1 10万円未満と20万円未満の取扱い
パソコンや備品などの減価償却資産は、原則として購入金額によって処理方法が異なります。
【10万円未満の場合】
取得価額が10万円未満のものは、原則として事業で使用を開始した年に全額を経費にできます。
例えば、8万円のプリンターを購入し、年内に仕事で使い始めた場合には、8万円をその年の経費にできます。
【10万円以上20万円未満の場合】
取得価額が10万円以上20万円未満のものは、「一括償却資産」として3年間にわたり均等に経費にする方法を選択できます。
例えば、15万円のパソコンを購入した場合、原則として毎年5万円ずつ、3年間で経費にすることができます。
なお、青色申告者で一定の要件を満たす場合には、次に説明する少額減価償却資産の特例を選択できることもあります。
2-2 40万円未満の少額減価償却資産の特例
令和8年度の税制改正により、一定の青色申告者である中小企業者等が利用できる「少額減価償却資産の特例」の対象金額が、従来の30万円未満から40万円未満に引き上げられました。
この改正は、令和8年4月1日以後に取得する資産について適用されます。
例えば、令和8年10月に35万円のパソコンを購入し、年内に事業で使い始めた場合、要件を満たせば35万円をその年の経費にできます。
ただし、次のような注意点があります。
・一定の要件を満たす青色申告者が対象となる
・特例の対象となる資産の取得価額の合計は年間300万円が限度
・取得しただけでなく、事業で使用を開始する必要がある
・確定申告時に必要な明細の記載など、所定の手続きがある
また、令和8年1月1日から3月31日までに取得した資産については、原則として改正前の30万円未満という基準で判断します。
令和8年中の購入であっても、取得時期によって取扱いが異なる点に注意しましょう。
3.高額なパソコンや備品を購入した場合
3-1 減価償却とは?
取得価額が40万円以上のパソコンや備品などは、原則として購入した年に全額を経費にすることはできません。
このような資産は、使用できる期間にわたって少しずつ経費にする「減価償却」という処理を行います。
例えば、50万円のパソコンを購入した場合には、税法で定められた耐用年数などに基づいて減価償却費を計算します。
また、40万円未満の資産であっても、少額減価償却資産の特例を利用しない場合などには、通常の減価償却が必要になることがあります。
購入金額だけでなく、適用できる制度や申告方法も確認しましょう。
3-2 購入金額は税込・税抜のどちらで判断する?
10万円未満、20万円未満、40万円未満といった金額の判定は、消費税の経理方法によって異なります。
原則として、税込経理を採用している場合は税込金額、税抜経理を採用している場合は税抜金額で判断します。
例えば、税抜38万円、税込41万8,000円のパソコンを購入した場合を考えてみましょう。
税抜経理であれば取得価額は38万円となり、少額減価償却資産の特例の金額要件を満たします。
一方、税込経理であれば41万8,000円となるため、40万円未満という金額要件を満たしません。
同じ商品を購入しても、採用している経理方法によって結果が変わる場合があります。
4.年末に購入するときの注意点
4-1 12月に買えば今年の経費になる?
年末の節税対策として、12月にパソコンや備品の購入を検討する方もいるでしょう。
ここで注意したいのは、購入しただけでは今年の経費にできない場合があるという点です。
減価償却資産については、原則として事業で使用を開始した時期が重要になります。
例えば、12月25日にパソコンを購入し、12月中に仕事で使い始めた場合には、今年の経費にできる可能性があります。
一方、12月中に注文・購入したものの、納品や使用開始が翌年1月になった場合には、原則として翌年の処理になります。
年末に購入する場合は、納品日や使用開始日にも注意しましょう。
4-2 クレジットカードや分割払いの場合は?
パソコンなどをクレジットカードや分割払いで購入する場合もあるでしょう。
この場合、原則として、代金を実際に支払った日だけで経費になる年が決まるわけではありません。
例えば、12月にクレジットカードでパソコンを購入し、年内に事業で使用を開始した場合には、カード代金の引落しが翌年1月であっても、今年の経費計上の対象になります。
ただし、購入金額の全額を今年の経費にできるかどうかは、取得価額や適用する減価償却制度によって異なります。
また、分割払いの場合も、毎月の支払額をそのまま経費にするのではなく、原則として資産の取得価額に基づいて経費を計算します。
大切なのは、支払った日ではなく、事業で使用を開始した時期と、適用する税務上の制度を確認することです。
5.経費計上で間違えやすいポイント
5-1 領収書や使用状況の記録を残す
パソコンやスマートフォンなどを経費にする場合には、購入したことや事業で使用していることを説明できるようにしておくことが大切です。
例えば、領収書や請求書、購入履歴などを保存しておきましょう。
また、仕事とプライベートの両方で使用している場合には、事業割合をどのように計算したのか、根拠を残しておくことをおすすめします。
なお、複数の機器や付属品を購入した場合には、それぞれを独立した資産として判定できるか、セットで取得価額を判断すべきかについても注意が必要です。
単に請求書を分ければ、それぞれを10万円未満などとして扱えるわけではありません。
5-2 節税だけを目的とした購入に注意する
年末になると、税金を減らすためにパソコンや備品を購入した方がよいのではないかと考える方もいるでしょう。
しかし、経費を増やせば、その分だけ手元のお金も減ります。
例えば、30万円のパソコンを購入して全額経費にできたとしても、税金が30万円減るわけではありません。
税率を仮に30%とすると、税負担の軽減額は単純計算で約9万円です。
つまり、税金は減っても、手元のお金は差し引き約21万円減ることになります。
購入を検討する際には、節税効果だけでなく、今後の仕事に本当に必要かどうかを判断することが大切です。
まとめ

個人事業主がパソコンやスマートフォン、備品などを購入した場合には、事業で使用するものであれば、原則として経費にできます。
ただし、購入金額によって取扱いが異なります。
取得価額 | 主な取扱い |
10万円未満 | 原則として使用開始年に全額経費 |
10万円以上20万円未満 | 3年間の一括償却を選択可能 |
40万円未満 | 一定の青色申告者は少額減価償却資産の特例を利用できる場合がある |
40万円以上 | 原則として通常の減価償却 |
※40万円未満の特例は令和8年4月1日以後の取得分が対象です。各制度には適用要件があります。
また、仕事とプライベートで兼用している場合には、事業で使用している部分だけを経費にする必要があります。
年末に購入する際には、購入金額だけでなく、使用開始時期や資金繰りも確認しておきましょう。
練馬区周辺でパソコンや備品の経費計上、減価償却、確定申告についてのご相談や、信頼できる会計事務所をお探しの際は、ぜひ一度「大木会計事務所」までお問い合わせください。

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